狂気を生きる
歌舞伎座、南座、歌舞伎を見ていて思うことがある。
客の魂を鷲掴みにできる役者の条件がある。それは・・
華・色気・狂気、だ。
そして、当然のことながら、技術。
それらが揃った時、魅力の爆発がある。
イチ声、ニ姿、サンに顔、と亡き坂東三津五郎さんから教わった。
「役者はね、まず、声が大事。次に姿。顔はね、3番目くらいなんだよ」
数千人が入る大劇場では、まず客を魅了できる声じゃなきゃいけない。
顔は、実は、化粧でなんとでもなるし、そもそも遠い席の客からは見えない。
私はなぜ、歌舞伎に通うのか。
最前列の席で、彼らの魅力を浴びたいからだ。
勘九郎、七之助さんは言わずもがな。
尾上右近、市川染五郎さんたちの、爆発カウントダウンの魅力はいかばかりか。
「遙さんは、仕事しなくても生きれるから幸せだ。皆、生きるために働いてる」
よく言われる言葉だ。
だが、私にとって「生きる」はそれだけで幸せを運ぶものではない。
生きるとは、いかに狂えるか、だ。
想像してみてほしい。
穏やかに、平和に、毎日何も起こらず、同じ毎日が明日も来る。
それが、死ぬまで続く。
・・・幸せか?
「なんでもないような日が、幸せだったと気づく」という歌詞がある。
本気か?
私は狂い死にしたい。
染五郎、團子、辰之助、の三人で踊る演目がある。
「春調娘七種」だ。
20代の踊り手が縦横無尽に舞台を舞う。
ご高齢の舞いの妙技もいい。
だが、若い世代が自由に舞台狭しと舞う姿のなんと美しい・・・・。
ああ、狂った人に会いたい・・・。