むらむらと着たくなる
着物姿というものの影響力のすごさを感じた。
それは京都からの電車の中。
少し混んでいて、私と着物姿の女性が並んで通路に立った。
私は椅子にあるアームを掴み、女性はつり革を掴んだ。
着物の袖にはつり革は高すぎる。
「どうぞ」
アームのほうを女性に譲ると、「ありがとうございます」と女性はアームを掴んだ。
次の駅で私の前の席が空いた。
「どうぞ」
席を譲ることにした。
別にその女性は高齢ではない。だが、譲りたくなった。
「よろしいんですか・・」そう言って座った。
着物姿には力がある。
それは、「私を大切に扱って」というオーラというか。
周りの者たちがついエスコートしたくなるのだ。
そんな力がある。
女性を見ながら思った。
日舞の帰りだろうか。いや、お茶か、お花か・・。
着物姿ほど素人からプロレベルがわかるものはない。
若い子が着る着物、外国人が着る着物、そして、なんらかのプロの着物。
すべてまったく異なる。
なかでも、プロの着物はその粋さレベルを楽しむのが好きだ。
高齢女性ほど、着物の着こなしが板についている。
灼熱の夏と違い、秋は着物にはいい季節だ。
ああ、私も着物が着たい。
でも、どこに行くのだ。何をするのだ。誰と会うのだ。
なーーーーんもないっ。あああ。