聞こえる?心の声が

「エネルギッシュやろ~ あったかいやろ~」
ステージ終わりの友人が私の頬を撫でながら言った。
大勢のスタッフの前だった。
彼女は続けた。
「きれいやろ~」
そしてこの言葉でしめた。


「私、この子、大好きやね~ん」


実にありがたい言葉だと思った。
でもなぜ今彼女はそれを大勢の前で言う必要があったのか。
それは唯一部外者の私を、スタッフたちの前で、こう印象づけたかったからだ。


「遙は私の仲間」


そう示すことで、私が部外者扱いされるのを避けさせた。
見事な人心掌握術だ。
芸能界はそういう所だ。
いつも、二重言語がある。声で喋りながら、同時にテレパシーも使う。
声では社交。でも実際は、テレパシーで会話してる。
彼女が皆に言いたかったのは、
「舐めんなよ」
そして私には、「大丈夫やで」か・・・・。
それを直接言葉で言うと露骨だ。
だから、芸能界では、常に二重音声で会話する。

直感力の弱い人は、この会話ができない。
声の言葉を信じるし、声しか聞こえない。
テレパシーでの音声がまったく届かない。
そもそも番組自体がテレパシーと声の二重言語で成り立つと言っていい。
「ここ、お前、いけ」とか「そろそろコマーシャルだからそろそろ黙れ」とか。
そういうテレパシーが届くと、番組は無事に収録できる。
でも、それがまったくない人と共演したら、収拾がつかない録画もあった。

心の声が聞こえますか?

人間は動物で、動物が言葉や声を持たずとも、会話できるように、
人間もまた動物だから、実は、心で会話ができるんですよ。
聞える?
あなたの大事な人の声が。

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