「僕ね」というラブコール

英会話では不思議な現象が起きることがある。
あきらかに、社交的ではないタイプの青年が、笑顔で私に近づく。
でも、あきらかに、私に対する好意が、満載だ。


「僕ね、僕ね」


そう話す。
不思議な光景を、私はただじっと見つめて聞いていた。
パンと牛乳飲みながら。
食べてる間中、青年はずっと私に喋り続けた。
いったい・・これは・・なんなんだ。
彼の、私への好意、信頼、そういうポジティブな感情を、彼はいつ持ったんだ・・・。
嬉しそうに喋り続ける青年を、口にいっぱいのパンを入れながら、じっと見た。


「それで僕ね」

青年はまだ喋る。
・・・可愛い。
そう感じた。
自分になついてくる動物は、犬でも男性でも、全部、可愛い。
大っ嫌いな子供でも、なつけば可愛い。

青年は、喋りたいだけ喋って15分ほどで退出した。
私の記憶には、「僕ね」しか残ってない。
素直だ。喜怒哀楽がねじれることなく顔に出る。
そういう青年が、社会人として英語を学びながら働いている。
未来を想像した。
私が本格的な老人になった時、人間はどう見えるだろう。
ほぼ、すべての人間を、可愛く愛でるのだろうか・・。

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