偉大なる勘違い
中高年男性が、扉を開けた際に、私を観て軽く微笑んだ。
・・・めずらしい。
目が合うだけで、好意を笑顔で示す中高年男性は滅多にいない。
次に、共にエレベーターに乗った。
突然その男性が私に話しかけた。
「イッツ、ゴーイング、ダウン」
・・外国の男性だったか。
しかし、見た目はフツーの日本人オッサンだ。人は見た目に寄らぬものだ。
などと思っていたら、男性は再度、私に強く言った。
「イッツ!ゴーイング!ダウンッ!」
階数ボタンを指刺され、理解した。
下りのエレベーターに私は乗り、上階ボタンを押した、ということ。
男性は親切にそれを教えてくれていたのだった。
「ソ~リ~」とエレベーターを降りた。
そして、気づいた。
男性が、英語の下手な外国人だったのではない。
フツーの日本人のオッサンが、私を外国人だと最初から勘違いしていたということ。
これで、謎が一気に解けた。
目が合っただけで好意の笑顔を惜しみなく出すこと。
とてつもなく日本語なまりの英語だったこと。
英文が中学生レベルだったこと。
彼が私にずっと英語で喋り続けたこと。
私が外国人やったんかぁっ。