今の私にはもったいない
鉛筆タイプの眉墨をいただいた。
なぎなたの形に鋭く尖った眉墨を手にした時、
グラッと脳が揺れるのがわかった。
あの時の自分に一瞬、戻ったのだった。
そう。がむしゃらに働いてた、あの時。
化粧は舞台に出る前の、総仕上げだった。
完璧に仕上げる・・。
最も気合いが入るのが眉化粧だ。
化粧はほぼ、眉毛で決まる。
眉毛に、ダサさや、曖昧さや、気負い、が、出る。
その眉墨の先端は、まるでカミソリの刃のように薄く削られていた。
それを削った人の気合いが、そこに乗っている。
その気合いを借りて、眉を描くのだ。
一本一本、まるで、生えたような眉毛を。
・・・忘れてた・・・
この気合い、この緊張感。
私は今、ただ、身だしなみ程度のメイクをしてる。
ぼわっとした眉毛で、日々、生きてる。
この、キレそうに尖った先端で眉毛を書いていたのは、いつだっただろう・・。
心はモノに乗る。
ペン先に乗った心を受け、今の自分にはもったいない、と、そっとペンを置いた。
