会話の国、大阪
「ひとりで来たん?」
「はい。チケット一枚ならどこか取れるから」
「ここの席、売れてたから、誰か来るやろなぁと思ってた。eチケット?」
「ウェブ松竹チケットです」
「弁当食べてきたん?」
「はい」
「外出たんか?」
「ロビーで。ロビー寒かったわぁ」
「クーラー入れてるんやな。アホちゃうかっ」
「サングラス落としたっ」
「僕が拾たろかっ?」
「自分で拾えるっ」
以上。
すべて、観劇前、幕間休憩後、観劇後、の、私と周りのお客さんとの会話だ。
女性客と、男性客。もちろん知らない人たち。
ひとりで観劇しても、着席と同時に、常に、会話がある。
私の仕事はバレてない。でも、これだけ会話に満ちている。
だから、大阪が好きだ。
こういう会話の延長に、「あめちゃん、やろか」がある。
育った町内会もそうだった。
「どこいくん?」と、ご近所のおばさんから常に聞かれる。
「どこ行ってきたん?」も、聞かれる。
阪急百貨店の食料品売り場で。
「次、いつ来るんかと思ってたわ」と店員さん。
「今、大阪?」と別の店員さん。
会話のある土地が、大阪で、だから一人でも寂しくないのかもしれない。