今日だけ恋する

今日は宝塚の観劇日。
そういう日は朝から心が湧きたつ。
すべての時の運びが、緞帳が上がる瞬間に向けて動く。
一日で最もテンションを上げた女性たちが集まる場所。
だから会場には鼻息の荒い女性たちが多い。
ファンの幹部たちはスターの名前の看板を掲げて客を待つ。
レストランもトイレも、満員だ。
みな、今日、この時のために指折り数えて過ごしてきたはず。
宝塚の熱気だけは、他の会場とは比類ない。

他の劇場にはもっと高齢者が多い。
宝塚は少し世代が若い。熟年高齢期というか。
情熱と肉体がかろうじて連動できる世代というか。
そのどちらが欠けても、宝塚は難しい。

熱を持つ時間というのは大事だ。
「なんのために生きてるかわからない」とたまに聞く。
そういう人は、熱を感じていないのではないか。
宝塚に関しては、おそらく、その熱源は、「恋心」だ。
恋は人を狂わせる。
そう。
狂うほど恋したい。
そういう女たちが集まる。

私も恋しに行くのだけど、駅前の草餅も買うし、食事もする。
恋と食い意地は両立する。
なんと、人間とは生々しい生き物か。

今日のこの一瞬だけ、燃えて生きたい。
そう思って、いってきます。




目次