10円の価値

天満市場に行く。
あらゆるものが安い。新鮮。
両手にビニール袋をぶら下げ、唐揚げ屋さんに行く。
唐揚げ買って、おつりもらった。
荷物だらけの私の手からおつりがこぼれ落ちた。
見えた100円玉は拾ったけど、あとはわからない。
「落としたのっ?」と店のおばさんが言う。
「うん。でも、見つかれへんからええわ」と返事する。
足元は下水溝で上に鉄網がかかってる。きっとその下に落ちたんだ。
すると・・・奥から大将が出て来て、下水の鉄網を金具で持ち上げた。

「何円落としたんや?」と大将。
「わからん」
「手のひら開けてみ?」とおばさん。
開けた手のひらに残る小銭を見て、おばさんが、「10円足らんっ」という。
「10円もうええわ」と返事すると、大将が声をあげた。


「10円、大事やがなっ。お金やがなっ」


結局、落とした10円は見つからず、大将が10円くれた。
「ありがとう」と言って店を後にした。
「お金落とした」とわかった時の皆の動きの速さ。
絶対あきらめない姿勢。
10円で、ここまでできる姿勢を、私はいつの間にか、忘れてる・・・。
親に叱られた気がした。

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